2002年04月15日
トーノZEROアニメ感想機動戦士ガンダム total 4463 count

宇宙世紀の駄ッ作機 MSM-04 アッガイ(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 スパイ活動の支援に使われたMSM-04の具体的な成果のほとんどは明らかではありません。その中でも、例外的に明らかになったものの1つに、テムズ川橋梁連続破壊作戦があります。これは、イギリス地区の連邦軍を混乱させるためにテムズ川を隠密裡に遡ったMSM-04によって行われたものです。

 本来の計画では、5機のMSM-04がそれぞれ主要な橋の下に潜み、深夜0時に同時に破壊して、何が起こったか把握される前に大西洋に抜けるというものでした。

 しかし、川の汚れが激しく、水冷システムに支障が生じたため、時間までに所定の位置に着けたのは1機のみでした。そして、その1機だけが予定通りの破壊活動を行いました。それを見て慌てふためいて緊急展開した連邦軍は、テムズ川全域で警戒を行い、残り4機のMSM-04は身動きが取れなくなりました。1機はそれでも橋の破壊を試み、橋は破壊したものの、警備に動員された61式戦車の主砲で撃破されました。他の2機は、早々に作戦失敗を悟り、橋を破壊することなく、大西洋に脱出しました。最後の1機は、水冷システムが詰まり、身動きが取れなくなったため、機体を爆破後にパイロットは投降しました。

 この事件により、連邦軍はMSM-04の残骸を手に入れ、それがスパイ活動向きの機体であることを知りました。しかし、性能面では大したことはなく、正面装甲すら61式戦車の主砲で撃ち抜けることが分かると、連邦軍の興味はMSM-04の侵入をいかに防止するかに移りました。その結果、河口に防潜網を設置するなどの対策により、MSM-04の侵入を阻止する対策が取られました。また、上陸して歩いて堰やダムなどを迂回する可能性もあるため、そういう場所の警備も強化されました。

 これによりMSM-04によるものと思われる破壊活動などは減少したものの、誰も気付かない間にスパイを潜入させるなどの目立たない活動まで完全に阻止されたかどうかは判然としていません。

 さて、オデッサ作戦後、全水中戦力による輸送船攻撃が命じられ、MSM-04の一般作戦利用も解禁されました。

 MSM-04は、ようやく最初に意図した使い方を実行できる時が来ました。

 しかし、既に状況は一変していました。MSM-04の計画時には、連邦軍の輸送船は1隻ごとに単独で航行していましたが、この頃には既に船団を組んで厳重な護衛が付くようになっていました。しかも、護衛艦の装備も対水陸両用モビルスーツ戦用の新式装備に更新されていました。高性能機であるMSM-03による襲撃ですら2機に1機は未帰還になるというのに、低出力低防御力のMSM-04で戦果が上げられるはずもありませんでした。それにも関わらず、MSM-03より安いMSM-04は輸送船攻撃用に量産が決定され、貴重な時間と資源を無駄遣いするという事態も起きました。

 結局、MSM-04は教育部隊にまわされ、MS-05に代わる初等練習機として使われることになりました。

 さて、MSM-04最高の活躍はその後に訪れました。戦意高揚映画を撮るという企画が出たとき、今更ザクでもあるまいという意見が出されました。しかし、この戦局の厳しいときに、最前線が喉から手が出るほど欲しがっている機種を映画撮影用にまわすことは困難でした。かといって、量産もされていないテスト機を見せる訳にも行きません。また、先行してクランクインした『魔法の少尉ブラスターマリ』では、MS-05しか借り出せないことを逆手にとって、魔法の力でMS-05『1日ザク』が敵の最新鋭モビルスーツをなぎ倒す内容でしたが、それと同じアイデアを使うわけにも行きませんでした。そういう観点で、主役モビルスーツを物色していると、MSM-04が候補として浮上しました。最前線に置くには非力とは言え、ザクに比べれば目新しい機体でした。

 これなら、いくらでも貸してやるとジオン軍も確約したため、戦意高揚映画『機動戦士アッガイ』はクランクインされました。その時点で、アッガイは全て特殊任務より引き上げられており、詳細は機密扱いだったものの、特殊任務に使用されたことは明かされていました。そのため、『機動戦士アッガイ』は、特殊部隊の活躍を描く映画となりました。主人公は、『赤い彗星のシャア』の部下として実在した人物をモデルとしていましたが、作品の内容はまったくの創作でした。登場人物の中では、特殊な偽装ペイントを得意とするタミヤ軍曹の活躍が喝采を浴び、大戦末期のジオン国内で最も観客を動員した娯楽として人気を博しました。

 また、『機動戦士アッガイ』人気の沸騰に伴い、ジオンおよびジオン占領下では、実物のMSM-04を使用した『機動戦士アッガイ・ショー』が行われ、これも人気を博しました。『本物のジオン最新鋭モビルスーツに触れてみよう』を宣伝文句として多くの観客を集めましたが、これは軽量コンパクトなMSM-04であればこそ実現できたものです。はるかに重いMSM-07やMS-14であれば、輸送にも手間が掛かり、これほど幅広く巡回ショーを行うことはできなかったと言われています。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。